審査の結果、下記7団体を実施団体として決定いたしました。(50音順)
認定NPO法人 かものはしプロジェクト
- 事業名
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中規模市民社会組織の持続的成長モデル構築に向けた実践型調査事業
- 事業概要
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中規模NPOが抱える脆弱性の構造要因を、調査と伴走支援を通じて明らかにし、得られた知見を広く共有することで、持続的な成長モデルの再設計と、エコシステム全体のレジリエンス向上を図る。
- 契約金額
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5,414,200円
特定非営利活動法人 きづく
- 事業名
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子どものセーフガーディングにおける社会構造転換プロジェクト―組織変容と制度形成を促す伴走型調査 ―
- 事業概要
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子どもの日常を支える事業体にセーフガーディングを実装し、専門家プラットフォームを構築することで、子どもたちに対する虐待・搾取・不適切な行為のリスクを大幅に低減することを目指す。
- 契約金額
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5,481,072円
認定NPO法人 SET
- 事業名
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人口が減っても、挑戦が減らない社会をつくる―関係性と縁によるシステムチェンジ事業―
- 事業概要
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若者と地域の関係性に介入し、挑戦と担い手が持続的に生まれる社会システムの実証とモデル化に取り組むことで、小さな町が希望の源泉となる未来を目指す。
- 契約金額
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5,490,445円
認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ
- 事業名
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こども食堂の活動を起点とした地域のエコシステムの形成に向けた「地域ネットワーク団体」の可視化及び多様なステークホルダーの行動変容促進事業
- 事業概要
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こども食堂を支える地域ネットワーク団体の実態と価値を可視化し、多主体連携による包摂的な地域エコシステム形成に向けた推進体制・実施基盤を整備する。
- 契約金額
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5,491,250円
認定NPO法人 地球市民の会
- 事業名
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“頼れない”を変える:働く母親の支援構造転換モデル事業
- 事業概要
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働く母親同士の支え合いと心理的回復を促す仕組みを実証し、子どもの安心と地域の持続性を高める再現可能なモデルを構築する。
- 契約金額
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5,448,723円
認定NPO法人 ピースウィンズ・ジャパン
- 事業名
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災害医療における民間ロスターシステム実装事業
- 事業概要
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民間災害医療チームの研修体系とシニアロースター制度を再設計し、自立運営モデルを検証することで、大規模災害の急性期に民間チームが継続的に機能する仕組みを整備する。
- 契約金額
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5,439,205円
特定非営利活動法人 Mobility for Humanity
- 事業名
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民間主導の難民就労パスウェイを通じた、日本とアジアの難民問題に対するシステムチェンジの試み
- 事業概要
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難民を人的資本として捉え、日本就労ビザを活用した就労パスウェイを設計・検証し、民間主導の受け入れモデルを日本とアジアに展開する。
- 契約金額
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5,495,600円
ファンドディレクターからのメッセージ
急速な人口減少や社会分断、気候変動など、複雑性と不確実性を増す課題が重なる中で、第一期システムチェンジ応援ファンドは立ち上がりました。本ファンドが目指したのは、資金を「配分」することにとどまらず、現場での挑戦が生まれ、学びが広がり、次の変化につながっていく。そのための条件を社会に実装していくことです。 (1)地域で社会システムを動かすこと、(2)学びを公共財としてひらきセクターの学習を加速すること、(3)資金の慣行を更新し挑戦が育つ資金環境をつくること。この三つの柱は、その意思を形にするための設計図でした。
このファンドの運営は、対話を積み重ねながら進めるため、一定の時間と手続きを要するプロセスになります。それでも私たちが、対話を重ね、信頼を積み上げ、互いの期待と懸念を言葉にしながら進める道を選んだのは、「想定どおりにいかないリスク」を資金の受け手だけに背負わせないためです。変化に挑む実践は、必ずしも計画どおりには進まないことが前提です。だからこそ、資金提供側がその不確実性を引き受ける覚悟を持ち、学びに応じて更新できる余白を制度として確保する必要があると考えました。
制度設計では、(1)波及を含むインパクトの最大化、(2)実現可能性バイアスからの解放、(3)管理主義からの転換、(4)募集から協働開始までを「マッチング(相互選択)」と捉えるプロセス設計、(5)トラスト・ベースド・フィランソロピーの理念に基づく透明性と対等性の徹底、を柱としました。提案書は最小限に抑え、一次は書類で「適合性」を確認し、二次は対話で深掘りする構成としました。適正執行の観点から必要な確認は行いますが、本事業の会計報告書の提出は求めず、挑戦の学びを記録する報告書を成果として位置づけ、その共有を説明責任の中核に据えます。こうした設計は、「統制」ではなく「信頼」と「学習」によって、社会変化の条件を整える試みです。
募集説明会と基礎研修には79団体が参加し、応募は38団体、面談は11団体、最終的に実施団体は7団体となりました。どの提案にも、課題の深刻さと意義がありました。そのうえで、分岐点になったのは、「自団体はなぜ存在するのか」という根源的な問いに立脚し、構造的課題の分析にどこまで踏み込めているか、そして1年という限られた期間の中で、何を試し、何を学び、どう社会を更新するかを具体的に描けているか、でした。また、「システムチェンジ」というテーマが、比較的設立時期の新しい変化志向に富む団体に届きやすい傾向も見えてきました。これは、次回以降、より多様な主体に門戸をひらくための重要な示唆でもあります。
同時に、信頼を掲げる以上、資金の出し手と受け手という力の非対称性から目を背けることはできません。私たち自身が本ファンド開始前にセーフガーディングに関する研修を受講してきたほか、重大な不正やハラスメント等については、弁護士・公認会計士に直接相談・申告できる独立した窓口(通称:安心相談窓口)を整備しました。また、実施団体と事業の参加者、そして実施団体内部にも非対称性は存在し得るため、セーフガーディング研修を非資金的支援として提供し、現場での学びと改善につなげる前提を共有しています。これらの方針は、信頼と公平性を軸に据えた契約書にも反映しました。安全と信頼は、理念だけではなく、設計と運用の積み重ねによって守られるものです。このことも、本プロセスを通じて得た大きな学びです。
2026年2月19日から26日にかけて、7の実施団体と個別にキックオフを行い、ここからはお互いパートナーとして率直に意見を交わしながら進めていくことを確認しました。実施団体の皆さまが各地でシステムチェンジへの挑戦を始めるのと同じように、私たち自身もまた、資金提供のあり方を変えていく挑戦の途上にあります。実施団体の取り組みに加え、本ファンドへの応募を通じて示された多様な挑戦の広がりにも関心を寄せ、引き続き応援いただけますと幸いです。
改めて、本ファンドに関わってくださったすべての皆さまに、深く感謝申し上げます。
システムチェンジ応援ファンド
ファンドディレクター
井川 定一
以下の資料を共有し、私たちが得た学びを公共の知として広く循環させてまいります。

